中日・大野雄大＝ナゴヤドームで2020年6月26日、兵藤公治撮影

　プロ野球草創期の名投手で太平洋戦争で戦死した沢村栄治氏を記念し、シーズンで最も活躍した先発完投型の投手を表彰する「沢村賞」の選考委員会（堀内恒夫委員長）が23日、東京都内であり、中日の大野雄大投手（32）が初めて受賞した。 　セ・リーグタイ記録の開幕13連勝をマークした巨人・菅野智之投手（31）との争いとなったが、45イニング連続無失点の球団新記録を樹立し、防御率や完投数などで上回ったことが評価された。 　沢村賞の審査基準は①15勝以上②150奪三振以上③10完投以上④防御率2・50以下⑤200投球回以上⑥25試合登板以上⑦勝率6割以上――の7項目。大野雄は今季20試合に登板して148回3分の2を投げ、11勝6敗、6完封を含む10完投、防御率1・82、勝率6割4分7厘、148奪三振。防御率や完投数など5部門でリーグ1位だった。 　今季は新型コロナウイルスの影響でシーズンの試合数が当初の143から120に短縮されたが、選考基準は変えず、過密日程や調整の難しさなどの事情を加味して選考した。 　オンラインで記者会見した堀内委員長は「例年にない長い討議になった。菅野投手も素晴らしい成績を残しているが、数字を見ると大野投手の方がトップが多い。ベストワンというと大野投手ではないかという意見が大半を占めた」と説明した。平松政次委員は「沢村賞本来の先発完投の姿を見せてくれた」と話した。【中村有花】 　◇沢村賞選考委員（就任順） 平松政次、堀内恒夫、村田兆治、北別府学（療養中のため欠席）、山田久志