13日に記者会見を開いた日本オリンピック委員会の山下泰裕会長(右から2人目)、スポーツ庁の室伏広治長官(同3人目)ら。手前に掲げられたポスターは、競技会場に掲示したり配ったりするという=東京・霞が関の文部科学省
日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ協会など7団体は13日、選手への写真や動画による性的ハラスメントを防ぐため、「アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行為」と訴える声明を発表した。大会での盗撮防止策、選手がSNS上で身を守る方法の共有などに取り組む。 【写真】陸上競技の大会で無許可の撮影禁止を呼びかけるボード きっかけは今夏。日本陸連に対し、女子選手から、競技中に性的な意図で撮影された写真がひわいな言葉とともにSNSに投稿されたなどの訴えがあった。陸連から相談を受けたJOCが調査したところ、他競技でも同様の被害があった。競技中の動画を性的な意図で編集したサイトの存在や、男子選手の被害も確認されたという。 JOCの担当者によると、現行の法律ではユニホームなど衣服の上からの撮影を「盗撮」として規制することは難しいという。「声明は第1歩」と位置づけ、さらに実効性のある方策を検討していく。13日は各団体がスポーツ庁の室伏広治長官を訪れて協力を要請。室伏長官は「アスリートが安心して競技に打ち込める環境作りを進めたい」と話した。 また、JOCは特設サイト(http://www.joc.or.jp/about/savesport/)で、悪質なSNS投稿やサイトの情報提供を呼びかけている。(塩谷耕吾) ◇ 園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法)の話 性的な意図で撮影をしたり、その写真や動画を投稿したりすることはアスリートの尊厳を傷つける行為。肖像権など民事で争うことはできるが、今の法律で刑事罰を問うのは難しい。迷惑防止条例の盗撮の構成要件は衣服の内部を撮影することであり、ユニホームや水着の上からの撮影はこれに当てはまらないケースが多い。名誉毀損(きそん)の認定も、ハードルが極めて高い。現在、法務省で「盗撮罪」を設ける議論も行われている。ただ、性的画像の範囲をどう定義し、取り締まるかは、表現の自由との絡みもあり複雑な問題だ。
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