システム名は「トラフィック ジャム パイロット」

ホンダ レジェンド（現行モデル）と、自動運転車であることを示すステッカー。

2020年11月11日、ホンダは自動運転のレベル3に求められる国土交通省の型式指定を取得した。このシステムを搭載したレジェンドを、2020年度内に発売する予定だ。 ●「自動運転レベル3搭載車」にできることはコレ！ 世界中の自動車メーカーが開発を進めている自動運転のシステム。そのレベルは0から5まで6段階に定義されているが、今回ホンダが型式指定を取得したレベル3とは、「一定の条件下で、システムが周辺の交通状況を監視するとともに運転操作を代行する」もの。ただしシステムが使用可能な条件から外れる場合は、警報を発して直ちにドライバーに運転交代をすることが求められる。 ホンダが今回認可を取得した自動運行装置は「Traffic Jam Pilot（トラフィック ジャム パイロット）」と命名されている。このシステムにより高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムがドライバーに代わって運転操作を行うことが可能となった。ホンダでは、フラッグシップ セダンであるレジェンドにこのシステムを搭載して、2020年度内の発売を予定している。 国土交通省は、自動運転レベル3の市場化に向け、道路運送車両法の一部を改正して2020年4月1日より改正法（令和元年法律第14号）を施行した。改正法では自動運転レベル3の実用化に必要な自動運行装置が保安基準（昭和26年運輸省令67号）の対象装置として新たに加えられている。その保安基準とは、以下のようなものだ。 （国土交通省 2020年3月31日 報道発表資料 自動運転車に関する安全基準を策定しました！～自動運転車のステッカーのデザインも決定～より引用） 1）性能 ・走行環境条件内※において、乗車人員及び他の交通の安全を妨げるおそれがないこと　※場所（高速道路など）、天候（晴れのみなど）、速度など自動運転が可能な条件。条件はシステムの性能によって異なる ・走行環境条件外で、作動しないこと ・走行環境条件を外れる前に運転操作引継ぎの警報を発し、運転者に引き継がれるまでの安全運行を継続するとともに、引き継がれない場合は安全に停止すること ・運転者の状況監視のためのドライバーモニタリングを搭載すること ・不正アクセス防止等のためのサイバーセキュリティ確保の方策を講じること 等 2）作動状態記録装置 ・自動運行装置のON／OFFの時刻 ・引継ぎ警報を開始した時刻 ・運転者が対応可能でない状態となった時刻 　等を6カ月間にわたり（または2500回分）記録できること 3）外向け表示 ・自動運転車であることを示すステッカーを車体後部に貼付 （メーカーに要請） ホンダの自動運転「レベル3」の型式指定は世界初になる。もはや「運転支援」ではなく「自動運転」となるシステムは、国内外の他メーカーも追従するはず。2030年代にはレベル3以上の車両が本格普及すると予測されているが、一歩近づいたといえるだろう。ホンダの「トラフィック ジャム パイロット」を実際に試せる機会を心待ちにしたいものだ。