市民が導いた答えは５年前と同じ「大阪市の存続」でした。

市民が導いた答えは、５年前と同じ「大阪市の存続」でした。 いわゆる「大阪都構想」の住民投票が反対多数となったことを受け、大阪市の松井市長は任期限りでの政界引退を表明しました。 【大阪維新の会代表・松井一郎大阪市長（１日午後11時　大阪市内）】 「まず今回住民投票に参加を頂きました大阪市民のすべての皆さんに、お礼を申し上げたい。誠にありがとうございました。結果は我々２度目の敗北であります」 【大阪維新の会代表代行・吉村洋文大阪府知事】 「僕らの熱量より反対派の大阪市を残したいという熱量が強かったんだと思います。僕たちが掲げてきた大阪都構想はやはり間違っていたのだろうと思います」 ２度目の挑戦も「敗北」に終わった大阪市の松井市長と大阪府の吉村知事。 二人三脚で目指した「都構想実現」の夢は再びはかなくも散りました。 【橋下徹大阪市長（2015年当時）】 「僕が提案した大阪都構想、市民の皆さんに受け入れられなかったということで間違っていたということになるんでしょうね」 橋下徹元大阪市長の政界引退から５年。 大阪市を廃止し特別区に再編する大阪都構想にイエスかノーか。 約220万人もの判断を仰ぐ住民投票は１日投開票日を迎え、賛成派・反対派、双方がギリギリまで支持を訴えました。 【大阪維新の会・松井一郎代表】 「大阪府と大阪市は互いに張り合って、無駄な都市開発して、大きなお金をパーにしています。二度とバラバラにならない仕組みを作って、次の世代に引き継いでいく」 【自民党大阪市議団・北野妙子幹事長】 「住民サービスが変わる。大阪市をいっぺん壊してしまったらもう（大阪）市民には戻ることはできない。片道切符なんです。愛するふるさと、大阪市をみなさんの手で守って頂きたい」 前回と同じく賛成・反対の差がほとんどない大接戦となりましたが。 開票開始から約１時間半、ついにその時が…。 （放送中の番組で開票速報が…） 「大阪市は存続へと…」 【街の人】 「え！無理やったらしい」 【自民党川嶋広稔大阪市議】 「あーよかった」 【共産党陣営】 「よっしゃ！うわー！やったー！」 結果は賛成の「67万5829票」に対し、反対が「69万2996票」。 わずか１万7000票あまりの差で再び否決されました。 投票率は62.35％と前回を４ポイントあまり下回りました。 【自民党大阪市議団・北野妙子幹事長】 「勝利ということで、否決されましたことを本当に心から皆さん方にご報告申し上げたいと共に、もう３度目はあってはならないという風に思っております」 【平松邦夫・元大阪市長】 「大阪市が残るということで、皆さんのこれからの未来にどういうものを作っていくのか一緒に考えていきましょうねというスタート地点に、もういっぺん立つ」 ５年前とは違い今回、賛成に回った公明党は。 【公明党大阪府本部・佐藤茂樹代表】 「短時間の中で隅々まで支持者の皆さんに（都構想を）理解させることが党の力不足でできなかったことが、何より大きい（否決の）要因ではないか」 【大阪維新の会代表・松井一郎大阪市長】 「今回は公明党さんに多大なるご支援を頂きましたが、すべて私の力不足。やはり不安なところ、変わることへの不安を解消させるだけの僕の説得力が、不足してたと思います」 敗因をこう分析した松井市長は自身の進退について… 【大阪維新の会代表・松井一郎大阪市長】 「僕自身の政治家としては、けじめはつけなければなりません。市長の任期を持って僕の政治家としての任期を終了といたします」 松井市長はかねてから公言していた通り、残り２年半の任期を全うしたあと、政界から引退する考えを表明しました。 そして… 【大阪維新の会代表代行・吉村洋文大阪府知事】 「僕自身の力不足。だから僕自身が大阪都構想に政治家として挑戦することはもうありません。もうやり切ったという思いです。今回この１丁目１番地の都構想が否決されました。それも踏まえて、あと任期が２年半ありますが、それは全うしたいと思います。そのうえで、（進退を）最終的にどうするのかというのは任期満了前に判断をしたいと」 吉村知事もこう述べ、３度目の挑戦を否定したのです。 【大阪維新の会・藤田あきら大阪市議　２日午前８時頃】 「おはようございます。住民投票へのご参加ありがとうございました」 維新の市議会議員は、前回と同じく、住民投票で代表が引退を表明したことについて… 【維新・藤田大阪市議】 「２人（橋下元代表、松井代表）の背中を見て育ってきた政治家が今どんどん増えてきているので、その２人をしっかり補えるように僕たちも成長しないといけないし、下も育てていかないといけないと思っています。政治は結果責任ですから、こういうことになると、提唱した人は責任をとって引退するというのが健全な政治だと思っていて、それを住民の皆さんにもそういう政治を見ていただいて、この先の政策選択もそういうのを含めて考えていただきたいと思ってます」 一方で存続が決まった大阪市の職員は… 【市職員】 「市民の方の意見がすごく反映されたものだと思っております。（都構想が）プラスなのかマイナスなのかというのが自身の中でもわからなかった」 【市臨時職員】 「維新（の会）に市政、府政は任せるけれども市はなくさないでねっていう意思なんだろうなと」 【市職員】 「10年20年と大阪の将来を見据えて仕事できると言うことで、職員としても引き続き市民のために頑張っていこうと思っています」 大阪市民は…、 【大阪市民】 「コロナのこととか、知事も市長も頑張ってくれてるなという感覚はあったので、吉村さん涙ぐんではったけど、正直涙ぐみますわね、同じ世代やから」 【大阪市民】 「でも、そんな差なかったね、１万何票やろ。今回は賛成なると、勝つ思ってた。時期が早すぎた、あと１年待ったらよかったんちゃうかな」 【松井市長の地元の八尾市民】 「それだけ頑張ったんだったら、もっともっとできる限りはやっていただきたい。まだ若いですから」 引退を惜しむ声も挙がる中、松井市長は２日、市の幹部職員に対し…、 【松井一郎大阪市長】 「結果は否決。この構想は終了いたしました。大阪市といたしましてはこれを真摯に受け止め、謙虚な態度でこれから市政の運営をしなければならない。大阪市は大阪府域の中心部の自治体として支えていく」 10年にわたり繰り広げられた都構想を巡る攻防は、果たして大阪に何を残したのか…そして、大阪は今後どこへ向かうのでしょうか？