写真はイメージです=ゲッティ
厚生労働省は2日、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、新型コロナウイルスのワクチンは特例的に全員無料で接種できるようにし、接種費用の全額を国が負担する方針を示し、了承された。接種を受けやすくすることで、死亡者や重症者を減らし、社会・経済的なダメージを減らすのが狙い。10月下旬に召集予定の臨時国会に予防接種法改正案を提出する。 【図解でおさらい】緊急性の高い症状 政府は、来年前半までに全国民に行き渡る量のワクチンを確保する方針で、早ければ年明けから接種が始まる見通しだ。新型コロナのワクチン接種について、厚労省は分科会で「まん延予防上、緊急の必要がある」として、予防接種法が規定する「臨時接種」の規定を準用すると説明。実施主体となる市町村は原則として住民に接種を勧奨し、住民には接種を受ける努力義務を課すことになる。 一方、分科会では委員から「どのようなワクチンが出てくるか分からない中で接種勧奨と努力義務を付けることに強い抵抗感がある」との指摘も出た。厚労省は同法改正案に、必要に応じて接種勧奨と努力義務の適用を外せる規定を盛り込む方針。 ワクチン接種の副反応(副作用)で健康被害が生じた場合に医療費や障害年金などを支給する救済措置も臨時接種と同様、高水準とする。救済措置の財源は全額国が負担。訴訟となった場合に製薬企業などに代わって国が賠償金などを払うための法整備も行う。 一方、現行の臨時接種では、費用の一部を地方自治体が負担することとなっているが、新型コロナについては同法を改正し国が全額負担する。 全額国費の対応について厚労省の担当者は分科会で「一連の1回目の接種について特例的に行う」と説明。新型コロナのワクチンは効果を得るのに「2回接種」が必要なものもあり、こうしたものは2回目まで無料で接種可能とする一方、インフルエンザのように流行期ごとに接種が必要となった場合は、費用負担の見直しもあり得るとの考えを示した。【横田愛】
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