岸部四郎さん

　伝説のＧＳバンド「ザ・タイガース」のメンバーで俳優の岸部四郎さんが８月２８日午前４時３３分、拡張型心筋症による急性心不全のため千葉県内の病院で死去したことが１５日、分かった。７１歳。京都府出身。葬儀は近親者で行った。兄は同じくザ・タイガースのメンバーで俳優の岸部一徳。 　岸部さんは２００３年に脳内出血で倒れ緊急入院。一命は取り留めたが、視野狭窄（きょうさく）などの後遺症を患い右目の視野が狭まった。０７年に妻・小緒理（さおり）さんを亡くしてから病状がさらに悪化。パーキンソン病などにもかかり、歩行が困難となり、車いすで生活していた。 　１２年に行われたザ・タイガースのボーカル・沢田研二のコンサートにゲスト出演したものの、その後に大たい骨を骨折。介護施設でリハビリに励んでいた。 　最後に公の場に現れたのは１３年１２月に東京ドームで行われたザ・タイガースが４４年ぶりにオリジナルメンバーで行った復活ツアーの最終公演。岸部さんは「今回全員がそろうのは何度も来ないチャンスだと思ったので無理をして参加しました」と施設からドームへ駆け付けた。車いすでステージに登場し、ザ・ビートルズの「イエスタデイ」を熱唱。結成以来初めて全てのメンバーがそろい、約４万５０００人の観客から歓声を浴びたが、それが最後の晴れ姿となった。 　岸部さんは６９年に兄・一徳さんの誘いでザ・タイガースに加入。７１年の解散後は俳優に転向。７８年には日本テレビ系ドラマ「西遊記」に沙悟浄役で出演し話題となった。 　８４年には日テレ系ワイドショー「ルックルックこんにちは」の司会に就任。１３年半に渡り司会を務めた。９８年４月、事業の失敗などで不渡り手形を出したことが原因で「ルック―」を降板。その後、自己破産した。